さて質問です。どの子がタイプ?

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ホムラちゃん(優しい系)

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ヒカリちゃん(ツンデレ系)

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プネウマちゃん(謎めき系)

尚、全員巨乳。

今年はスピラにロトゼタシア、壮大な世界を2つ巡ってもまだ冒険熱が冷めやらずだ。だがゼルダの夢を見る島は3日くらいしか夢を見れなかったので、最後の締め括りとしてゼノブレイド2の世界「アルスト」を旅してきた。ゼノギアス(スクエア)・ゼノサーガ(ナムコ)の系譜を継ぎ、2010年に任天堂から出されたゼノブレイドの2作目である。ゼルダ、ドラクエ、ファイナルファンタジーの御三家と比べると知名度は劣るものの、ロボット的な雰囲気が漂う異色派RPGとしてコアなファンを抱えてそうな人気シリーズである。以前はダサめなロボットアニメ感が否めない部分もあったが、任天堂陣営に移ってからはだいぶ洗練されてそうだ。そして本作ではキャラデザインを大幅に秋葉系のアニメタッチに寄せている。でも主人公だけ少年ジャンプ。というわけで、さっきの巨乳三名は本作のヒロイン達だが、皆それぞれ可愛くて魅力的。あらためてどの子がタイプか、よく見てくれ。


優しいけど逆に守ってあげたくなる系、年上でこんなん反則やろ


どこまでいってもツンデレ系、「以上、あとよろしく」が天才的


謎めき系はシリアスシーンで映える、結構追いかけちゃいそうだ

どうだろう。俺氏はホムラちゃん推しだけどね。惚れてまうやろ。そんな感じで前段がだいぶ長くなってしまったがゼノブレイド2、かなりの問題作だったので大きな特徴と言える3つの側面から迫っていこう。


描かれてる世界が素晴らしい

PR映像やプレイ動画をみてまず風景に魅了されたのだが、これがかなり素晴らしい。果てしなく拡がる雲海に幾つかの巨大な神獣が漂い、その上に国や街が存在している、という世界設定。これだけでも興味がそそられるが、普通に陸と海が広がるはずの基本的な概念を最初から捨てており、神獣の上というある種何でもありな前提を活かしているところがポイントである。例えば巨大なクジラの上に森や泉、草原や湿原、そして街があるような世界をイメージしてほしい。これにより起伏に富んだという表現では到底収まらないだろう全体未聞レベルの立体的でダイナミックな地形を生み出し、そこにRPG愛好家達が求める空想的世界をガッツリ作り込んでいる。しかも神獣ごとに全く異なる環境と文化、つまり幾つもの「こんな世界あったらいいな」的な風景や街並みが存在している。そして面白いことに各々の神獣は、アバリティア(物欲 :avaritia)、グーラ(貪食 :gula)、インヴィディア(嫉妬 :invidia)、スペルビア(高慢 :superbia)、アーケディア(怠惰 :acedia)、ルクスリア(色欲 :luxuria)そしてイーラ(怒り :ira)というキリスト教の大罪をモチーフにしており、ほんのりその言葉の意味が感じられる雰囲気となっている。いやーもうね、冒険心が掻き立てられすぎ。そして単純にこの世界での物語に触れてみたいと思わせるだけでなく、細部まで散策出来るようになっていることについては制作者の心意気を感じる。いやーもうね、冒険心を満たしに来てる。総監督の高橋氏はインタビューで「RPGはマップだ!」と言っているが、まさにその通り体現されている。ちょっと見ていこう。

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巨大な木々が入り組むグーラ

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桜と湿原が幻想的なインヴィディア

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枯れた工業国スペルビア

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まさに空島リベラリタス

この世界を歩き回れるだけでゼノブレイド2は"買い"だろう。


システム全般が超絶複雑

ゼノブレイド2最大の特徴とも言えよう。細かい説明は他サイトに譲るとして、戦闘ではとにかく入念な事前準備と数種のコンボが重要だ。事前準備が途方もない量のやりこみ要素として立ちはだかることは言うまでもないが、戦闘システムを理解しコンボを極められるようにならないと中盤以降まともに進められるのか疑問である。参考までに、最終的に俺氏的最強コンボで600万ダメージくらいまでは出せるようになったが、この段階でも通常の一斬りはせいぜい2000ダメージくらいだ。終盤のボス系になるとHP1000万以上はざらだと思うので、これをノーコンボの2000ダメージで斬り続けてる姿は想像するだけでおぞましい。普通に1戦闘に半日くらいかかるんじゃないだろうか。コンボはタイミング良く攻撃を仕掛けたり、幾つかのパターンや順序に沿って属性攻撃を仕掛けることでどんどん繋がっていく。ある程度の事前準備をしてコツを掴んでいくと100万オーバーは出せると思うし、映像演出もあいまって爽快感もなかなか。どうのつるぎで10、はがねのつるぎで30、おうじゃのけんで100といったどんぶり勘定の世代など置いてけぼり。当初は複雑過ぎてめんどくさいでしかないが、一度ちゃんと向き合えば徐々に面白くはなってくる。だがどれだけ追求したところで相手がコンピュータである虚しさは拭えない。ドラクエのようなサクサク感との優劣の判断は結局のところ難しく、この点で作品の良し悪しを語ることも難しい。新鮮ではあるけどね。


ストーリーが大問題

ここが本題である。雲海から遺物を引き揚げるだけのしがない毎日から、稼ぎのいい仕事に手を出して敢え無く殉職。そこで命を半分譲って助けてくれた激カワ女子(しかも巨乳)に「私を楽園に連れて行って」と言われるところから冒険が始まる。まさにラピュタ的であり神話の法則的。入りは完璧だ、100点満点。ホムラのために頑張っちゃうよ俺氏。だが残念なことにこの旅立ちが物語のクライマックスとなってしまう。色々盛り込み過ぎだし、進めれば進める程に話しの軸がボケてダメになっていく。とにかくイケてないのは冒頭の巨乳ヒロイン達は実は同一人物だという衝撃的事実と、それに対する主人公の芯がある風でまるでない立ち回り。ホムラと旅してたはずが途中でヒカリに変身、本来の姿はヒカリでした的な。それだけでもついて行くのが厳しい感じなのに、実は2人合わせてプネウマでした的な。無茶苦茶じゃないすか。ちなみにホムラとヒカリは性格が真逆、プネウマに至ってはほぼ掴みどころがない。みんな可愛いけどね、巨乳だし。でも一体誰に感情移入すべきなんだ? 整理しよう、俺氏はホムラに一目惚れして楽園を目指していたはずだ。そのホムラが突如ヒカリに変身した時点で本来は一度立ち止まる必要がある。「いや、聞いてないんですけど...」ってね。ラピュタに例えるなら、序盤の山場である要塞の救出シーンでシータが突如ツンデレに変身、圧倒的火力で軍を蹴散らし自力脱出。場面場面でシータとツンデレシータの入れ替わりを繰り返しながらラピュタに到達。最終的には追い詰められてスーパーシータが登場、インドラの矢と同等以上の火力でムスカを撃破。という感じになってしまうが、完全に終わってるだろ。何も面白くないわそんな話し。もう5点だね、0点だけど巨乳補正。この流れをなよっとしたまま受け入れて何となく旅を続ける主人公ってどうなんだろうか。場面場面で周りに流されては正義感あります風のセリフを吐いているが、なぜ旅に出たんだっけ? 中身空っぽの成り行きベースには愛想が尽きる。だが本人にも多少の迷いがあるらしく、神からメンタル面での試練を与えられたときに、夢の中で虚ろな表情を浮かべてホムラとヒカリと3人でディナーをとっているシーンがある。そこで女々しく半泣き状態で「何だかホムラがヒカリで、ヒカリがホムみたい」的な迷言を残している。そしてホムラとヒカリ、どちらが自分のために料理を作るかで揉め始めるが、これこそが真の旅の目的を問う神の試練だったはずである。しかし「まぁまぁ二人とも、オレどっちに作ってもらっても嬉しいよ」と予想通りの中途半端な仲裁をかましたところでタオルが投げ込まれて試練終了である。はっきりしろよ残念な奴だな。もはや旅の目的の大半が謎である。

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もう帰っていいよ

だが本当に問題なのはここからである。百歩譲ってこの多重人格のヒロインをまとめて愛し旅を続けてきたとしよう。そうして紆余曲折を経てラスボスまで倒した後に、何とも偶発的で仕様もない事案が発生する。ビルが崩れそう、だそうだ。そこでプネウマが自ら犠牲となり皆を逃がすという独断行動に走るわけである。単身で断絶された対岸に残り「もう、一人で大丈夫だね?」というアイドルの卒業式感満点の決めセリフを放ってくる。めっちゃ可愛いけどね。余計に一人で大丈夫なわけないだろ。だが主人公、多少ごねるが1分以内に仲間の説得に応じている。主人公として落第点の度が過ぎるのでそのシーンのやりとりを紹介しよう。

仲間A 「男なら背を向ける覚悟も必要じゃ」
主人公「何で 何で」
仲間B 「惚れた女の気持ち受け止めてやらんかい」
   「それが大人になるっちゅーことや」
主人公「...」
仲間C 「君との出会いに礼を言いたい」
主人公(うつむいたまま納得)

そして感動的に彼女一人を見捨てる流れになりエンディングへ。目が点になったよ俺氏。主人公もてんでダメだが周りも周り。仲間Aに関しては普段からじっちゃんと慕う親族級である。同調圧力の怖さすら感じるレベル。普通こうだろ。

仲間A 「男なら背を向ける覚悟も必要じゃ」
主人公「覚悟の意味分かってる?」
仲間B 「惚れた女の気持ち受け止めてやらんかい」
   「それが大人になるっちゅーことや」
主人公「なんでやねん」
仲間C 「君との出会いに礼を言いたい」
主人公「え、何で今それ言った?」

そして何が何でも彼女を助けにいかないと...

ヒロインとの別れがこんなんでいいのか? そんな簡単に諦めていいのか? 何のために旅をしてきたんだお前は。しかも巨乳だよ? ユウナちゃんとティーダの顛末を見てくれ。さもなくば歴代のロト勇者のように哲学的無個性キャラを貫いてくれ給え。この主人公の芯の無さには道中ひたすらうんざりさせられてきたが、エンディングまで来て怒りを覚えさせられるとはね。ゼノブレイド2では主人公の名前を自由に設定出来ないが、こいつにだけは絶対に自分の名前を付けたくない。てか付けてたら途中でゲームを投げ出してるわ。もうマイナス2000点だね。

からのエンディングの最後で何の説明もなくサクッとホムラとヒカリが2人で帰ってくる。いやいや、ダメダメ2人同時は。ミスってる。頭部はずして咥えタバコで札束数えてるタイムズスクエアのミッキーの着ぐるみみたいだぞ、ミスり具合が。今まで夢のシーン以外はなかったやん、2人同時は。百歩譲ってこっちが許容出来てたのは変身までなんだが。君達別人だったんですか? もしかして順番に休憩してました? さっきの今生の別れは一体何だったの?ってのも吹っ飛ぶ程にかっ飛ばしてくるな。むしろ全く咀嚼しきれない展開を清々しい程意味不明にぶっ壊していくスタイル。RPGなのにコントローラー投げそうになったよ俺氏。で、クリア後の起動画面では3人で手を繋いじゃってるよ。マクロスフロンティアかお前らは。もうマイナス600万点だね。

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まとめ

というわけでゼノブレイド2、世界設定が素晴らしかっただけにストーリーのクソさ加減が非常に勿体ないという大問題作だった。光田氏率いるチームの音楽がかなり良かったことも心残りである。普段レビューを書くときはネタバレを控えるように心掛けているつもりだが、余りにもクソ過ぎて熱くなってしまったわ。露出度高めの巨乳ヒロインを何人も登場させたかったならそれでもいいんだけど、どこかのタイミングで1人だけに選ばせるべきだったと思う。それこそ二度と会えぬ今生の別れがベター。そうすればわりと良いストーリーになったんじゃないだろうか。いや、主人公があれじゃそもそもダメか。ところで敵方の雄にシンというイケメンホストが居たんだが、彼は悲哀系の二枚目部門なら歴代の和製RPGで断トツ1位。普通に彼が主人公で良かった。とどの詰まり、それだけだ。


シン目線だとこんなにもロマンチック


【原田が斬る!】
ナムコで同じ時代を過ごした鉄拳の原田氏とゼノブレイドの高橋氏の対談記事。格ゲー側から見たRPG、RPG側から見た格ゲーが語られててなかなか面白い。

【風景画像の拝借先】
https://waniyamasan.com/xenoblade-photo/